大学院って何年あるの?お金もらえるの?

大学院って何年あるの?

とよく聞かれます。多くの大学の学部は4年ですね。医学部や薬学部は6年でしょうか。大学院は2つの段階にわかれています。大学を卒業後に入るのが,大学院の「修士課程」あるいは,「博士課程前期」で最低2年在籍します。その後,大学院の「博士課程」あるいは,「博士課程後期」で最低3年在籍します。そのため,大学院修了して研究者などの専門家になるためには,最低5年は大学院に在籍することになります。

ほとんどの日本の大学には,飛び級制度はありませんので,「大学4年」->「大学院修士2年」->「大学院博士3年」というのが,最短の経路となります。あと,大学院の場合は,卒業とは言わずに,「修了」と言います。

 

給料はもらえるの?修士課程偏

ともよく聞かれます。これに関しては,研究の分野によって異なるのではないでしょうか。わたしが知っている限り,かつ,私が研究している分野(心理学)に関しては,修士課程に在籍して,研究しているだけでは,給料はもらえません。そのため,生活するためには,アルバイトや奨学金を借りることは,ある程度必須なように思います。大学にあるめずらしいアルバイトには,ティーチング・アシスタントといって,授業の補助をするアルバイトや,実験参加(基本的には,安全な実験しか募集できません)のアルバイトもあります。

しかし,研究に関わることに関しては,大学や先生の研究費から出してもらえることもあります(全額ってわけではありません)。例えば,研究発表のために,国内や海外に行く場合の旅費や,実験に使う機械などは,お金のない学生には厳しいので補助してもらえる場合がありますが,大学や先生の方針次第です。

リーディング大学院といった,大学院に在学中に給料をもらえる制度(その分,忙しい?)や,給付型の奨学金,財団などの支援などもありますが,人数が決まっているので,多くの方がもらえるとは,限りません。

 

博士課程偏

博士課程以上では,給料をもらえる機会は,増えてきます。代表的なものに,学振DCというものがあります。これは,ざっくり言うと,博士課程の学生を国が特別研究員として雇ってくれるというものです。雇われているので,給料と研究費がもらえます。

詳しくは,こちらのホームページに。https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_gaiyo.html

月20万円の給料(研究奨励金)と年間150万円以内の研究費がもらえます。博士課程3年間もらえるDC1と,博士課程2年間もらえるDC2があります。博士課程に進学を考えている人や,研究者になろうとしている人は,ほとんどみんな申請する「競争的資金」です。競争的資金は,審査があり,すべての人が採用されない資金のことです。DC1とDC2ともに,採用率は,20%です。そして,DC1は,修士課程の2年生の5~6月に申請書を提出しなくてはいけません。

審査には,やる予定の研究がどれだけすばらしいかだけでなく,どれだけ研究の業績(認められる論文を書いたか,研究発表をしたか)を出しているかが見られます。修士課程の間は,お金がないのですが,研究に専念して,博士課程で研究を続けられるように,論文を書いたり,発表をしたり,しないといけません。それだけでなく,修士は英語で,マスターと言いますが,その分野のマスターになるために,勉強もしないといけません。私は,「発達心理学・発達科学マスター」にならないといけません。さとしが,ポケモンマスターを目指したようにです。

 

最後に

自分の研究を進めるために,DC1に採用されるための業績を作るために,日々を過ごしているうちに,もうすぐ1年が経とうとしています。仕事量ともらえるお金が,割に合わないのに,どうして研究をしたいの?とよく聞かれます。子どもが幸せになるためだったら,現場で働けばいいじゃんと言われます。私は,先生や保育士,親など,日々子どもと向き合っている方々を尊敬しています。私は,その援護射撃がしたいと思っています。

子どもが幸せになるためには,子どもにだけ何かをするのではなく,その周りも含めて幸せになることを考えなくてはいけません。子どもが意識している世界を知ってもらい,どうやったら子どもの気持ちやこころをわかってあげられるかを考える材料を提供したい。現場の方々と一緒に,子どもが生きやすい世界にしていきたいと思っています。そのためには,少しずつ子どもを知るための研究を続けていきます。そして,研究でわかったことを発信していきます。