大学院・研究室選び

 暑いですね。一人暮らしの学生は,大丈夫でしょうか。電気代の節約のために,図書館やバイト先が,涼みポイントだったと思いますが,今年はどのようにお過ごしでしょうか。熱中症にお気をつけくださいね。今回は,以下について書こうと思います。

 

【大学院・研究室選び】

 私が大学院・研究室選びで重要視したのは,①指導教員の研究テーマ,②研究室でできること,③指導教員の指導方針,④研究室や研究科の大学院生,でした。これらのことは,研究室訪問の際に必ず確認した方が良いです。指導教員や研究室が自分に合うかどうかをこちらから試す気持ちで良いと思います。

①指導教員の研究テーマ

 私は,認知心理学発達心理学の分野の研究をしたいと思っていたので,全国の大学院で研究室を持っている当該学問の研究者を調べました。方法としては,i) 本の著者から手繰る。ii) 各大学のホームページから手繰る,iii) リサーチマップから手繰る,ことをしました。

 i) 本の著者から手繰るに関しては,入門書や専門書は,テーマごとに複数の先生が本を書いていますので,おもしろいなと思った章を担当した先生のホームページや出している本や論文のタイトルを調べました。発達心理学に関しては,清水・林 (編)『他者とかかわる心の発達心理学』がおすすめです。12人の発達心理学の講師や研究員,准教授の研究をバリバリやっている (であろう) 先生方が自分の研究について書いています。この本は,研究計画を考える際にも役立ちます。認知心理学に関しては,日本認知心理学会 (編)『認知心理学ハンドブック』を読みながら,先生や研究室を調べました。

 ii) 各大学のホームページから手繰りに関しては,発達心理学認知心理学は,研究科の名前ではあんまり見つからないですが,だいたい,教育学研究科や文学研究科にあります。その時ついでに,メンバーなどを見て,大学院生や研究室の構成員を見ました。

 iii) リサーチマップは,ほとんどの研究者が登録してあるので,名前を検索すると出てきます。現在の所属先や著作物,共著者の一覧がわかるので便利です。

 そのうえで,私は,卒論のテーマだった,子どものうそ・欺き研究に関係している,「心の理論」,「道徳性」,「欺き」,「実行機能」などの研究テーマに関わる先生に絞りました。

②研究室でできること

 私は,実験的方法で,行動指標に加えて,神経指標も計測したいと考えていたので,その先生がそういう研究をしているかどうかを調べました。例えば,NIRSやEEGを研究に取り入れたいと思っていても,その研究室にその器具がなければできません。逆に,先生や研究室の院生や研究者がその器具の操作方法に詳しいなら,いろいろと教えてもらえるかもしれません。

③指導教員の指導方針

 研究生活をしていくなかで,指導教員の方針は重要です。放任主義の研究室もあれば,トップダウンで,先生の研究を手伝うことが当たり前の研究室もあります。私が重要だと思ったのは,i) 先生や大学院生が第一著者で定期的に論文を出しているか,ii) 院生が自由に研究をできるか,です。

 i) 先生や大学院生が論文出してるかに関しては,指導教員自身が,研究することを続けていること,大学院生への指導をしていることを示します。特に,国際紙に英語でしっかりと論文を出していることがポイントでした。私は,のんびりな先生や研究室よりも,ガンガン研究して,論文を書いていく,スタイルが好きです。

 ii) 院生の自由に関しては,院生の研究の主軸が院生であって,指導教員がそのサポートをしてくれるかです。指導教員が研究のテーマとは違う場合に,そのテーマに詳しい先生を紹介してくれたり,研究会を紹介してくれるなど,研究のチャンスを広げるサポートをしてくれる先生もいます。その逆に,院生は,研究室の研究テーマの一部を担い,研究は,研究室内で完結させて,外部とのコミュニケーションを許してくれない先生もいます。研究室を離れることになっても,研究を応援してくれる先生が理想ですね。

④研究室や研究科の大学院生

 同期の存在は大切だと思います。同じ研究室の院生だけでなく,研究科の別の研究室にも院生がいて,少し違う視点から研究の話ができることは,研究生活をするモチベーションになります。先生や研究室の愚痴を聞いてくれる貴重な研究仲間でしょう。こういう点から,比較的大学院生が多い,研究大学は良いと思います。そして,将来のキャリアを考えると人脈は大事です。優秀な同期や研究仲間がいると刺激にもなります。

 

 とりあえず,以上にします。こういった情報は,必ず研究室訪問で,先生に直接聞いたり,大学院生に聞いたりしましょう。特に,大学院生がどういう生活をしているか,大学院生から見た先生はどうかなどは大切です。ここに決めた!と思っているとき,この先生はすごい!どんなことがあっても自分は大丈夫だ!と思ってしまうものです。しかし,大学院に入ってから,先生と合わなくて,研究が嫌になったり,大学院をやめてしまったりすることも少なくありません。指導教員と研究室を選ぶのは,学生側ですので,あまり先生を神格化せずに,大学院や研究室を選びましょう。

 

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