入学前に確認した方が良いこと,卒論で気をつけた方が良いこと,倫理審査について

 最近は,英語での執筆 (修論・レジレポ) と日本語での執筆 (ブログ) を習慣にしようと思って頑張っています。ポスター発表用のポスターや実験用コード修正,いろいろな申請書の作成に追われているのですが,情報を共有することは,昔から好きです。今回は,【入学前 (受験時に) に確認した方が良いこと】,【卒論で気をつけた方が良いこと】,【倫理審査】について書きました。

 

【入学前 (受験時に) に確認した方が良いこと】

 ①指導教員の移動,②大学院生の仕事量,に関しては,研究室に入ってから,こんなはずじゃ。。。となることもあるので,必ず確認をしましょう。まず,①指導教員の移動についてです。人事の問題は,私にはよくわかりませんが,指導教員が移動してしまうことは,少なくないです。学生は,その大学院の研究科に所属しているため,簡単に先生についていくことができません。方法としては,1) 現在の研究科内の別の研究室に移る。2) 新しい大学院研究科を受けなおす,3) 現在の研究科内の別の研究室に籍を置きながら,新しい研究科で研究をする (指導委託) があると思います。

 私は,そういう運命なのかもしれませんが,学部の指導教員が卒論提出年度に,サバティカルで海外に一年行ってしまいました。結果的には,私も一年留学をしたので,指導をしてもらいました。その一年,同期の学生は,代理の先生が卒論指導をしていました。今年,その先生も他大学に移動したようで,後輩たちが心配です。大学院進学後も,M2の四月から,指導教員が移動をしてしまったので,私は,上記の方法 3) の状態です。そのため,紙面上の指導教員と現実的な指導教員は異なっています。ちょっと,研究をする上では,やっかいですが,両方の先生からよくしていただいています。

 こういう状況は,研究をする上では,余計なストレスで,避けた方が良いと思います。特に,修士は2年間なので,先生が1年いないのは大きいですよね。指導教員の定年などもあると思いますので,研究室訪問の際には,必ず移動の可能性を聞きましょう。

 ②大学院生の仕事量に関してです。研究室や指導教員の仕事量によっては,学生がそれを手伝うことになるかもしれません。例えば,実験参加者の登録制度がある場合には,新規の登録の手続き,問い合わせの電話対応,登録制度の維持やホームページの作成などの仕事があります。業者や秘書さんが担うことがほとんどだと思いますが、院生が手伝うこともあるかもしれません。指導教員の講演に付き添って,動画を撮ったり,会場の運営をしたりすることもあります。研究活動以外の仕事でいっぱいいっぱいになって,自分の研究に使う時間がなくなってしまうかもしれません。研究室の研究費や運営費の関係で,無給での仕事もあるかもしれません。こういうところは,先生に聞きにくいと思いますので,大学院生に聞くと良いです。

 上記の2点は,先生に悪気があって起こることではないですが,学生側も自分の研究生活が懸かってきますので,しっかりと確認しましょう。

 

 【卒論で気をつけた方が良いこと】

 大学院に進学して,特に国内で研究を続けていこうと思っている方は,学振DCというものを目指す方が多いです。ざっくり言うと,博士課程の期間 (上限3年),生活費月20万円と研究費年150万円以内 (以内がポイントです) が2~3年程度もらえる制度です。修士2年の5-6月にその申請書を提出するのですが,「研究遂行能力」の欄に,研究業績を書くことになります。これは,研究発表や論文について書きます。博士課程進学を考えている学部生には,卒論をジャーナル論文として投稿できるレベルを目標とすることをおすすめします。一つ目の論文業績になるからです。

 研究論文を書いて,受理されるのは,とても時間がかかります。卒論を書く段階でもかなり苦労をしているのではないでしょうか?修士1年の間に,論文を完成させて,どこかのジャーナルに投稿・受理がM2の5月までに間に合えば,研究業績として書くことができます。必須ではないですが,少なくとも論文が受理されるまでの流れと努力を経験しているアピールにはなります。論文を持っているからといって,学振に通るというわけではないので注意してください。

 

【倫理審査】

 研究をする際には,「倫理」が大切です。その研究が倫理的に認められている (参加者に害はないか?研究する意義はあるか?結果が果たす役割は何か?等) ことをしっかりと考えましょう。研究者には当たり前なことですが,大学生が知らないことに,「倫理審査」というものがあります。これは,これからやる研究が倫理的に大丈夫であることをチェックする制度です。ここで,OKがもらえないとその研究をしていけません。そして,このOK承認がないと,現在ではほとんどのジャーナルでは,論文を受けつけてもらえません。

 上記で書いたように,卒論をジャーナル論文として投稿することを目標にするのであれば,当然この「倫理審査」を通らなくてはいけません。後からこれを知っても遅いこともあります。私は当時,このことを知らなくて,現在論文を投稿するためにいろいろと苦戦しています。大学院に進学を希望している方は,卒論研究の際に,指導教員に倫理審査に関して,必ず確認をしましょう。卒論レベルでは,いらないと言われるかもしれませんが,投稿論文として将来出したいことをしっかりと伝えましょう。卒論は,名刺代わりだし,デヴュー作です。修士1年の間は,これを研究発表することが多いでしょう。

 

 私は,卒論を日本語で提出しましたが,その後卒業までに,そのまま英語版を作成しました。そして,M1の7月に国際誌に投稿してから,連敗続きで今にいたります。結局,学振には間に合いませんでしたが,論文投稿や修正の中でいろいろなことを経験できました。修士1年の間は,卒論研究を学会や研究会で発表しました。卒論は,黒歴史だという方が多いですが,立派な研究デヴュー作です。大学院進学後の計画を考えていると思いますが,順調に進みたいのなら,卒論をしっかりと研究・執筆しましょう。

 

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