高校生に自分の体験や進路を話す紙芝居

懐かしいものを見つけました。
大学2年生のころ、もう6年前に、高校生に自分の体験や進路を話す紙芝居のボランティア (カタリバ) をやっていたのですが、そのとき話していた原稿です。大学2年生のときに高校生 (たぶん2年生) に伝えたかったことですね。

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はい。イッチ―です。よろしくお願いします。突然だけど,クイズをします。僕は,どこ出身でしょうか?(生徒さんに答えてもらう)いい線いってるねー!ちなみに,名まえの上に書いてあるのは,フランス語です。さて,正解は・・・。新潟県のちょーいなかでしたー。フランス全く関係ねーじゃんって思ったでしょ?その通り!田んぼと山と川に囲まれて育ちました。みんなのとこも,けっこう田舎だけどね!じょーだん,じょーだん!そんな,イッチ―の話を始めたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)

僕がみんなと同じ高2だった時,考えてた進路は,理系で大学進学でした。でも,今は,大学で文系の心理学を勉強しています。進路変わっちゃってるよね?なんで,僕が今の進路を選んだのかを考えながら聞いてほしいと思います。

まず,さっき理系って言ったけど,なぜ理系だったかっていうとね,チョー単純だよ!国社苦手で,英数理得意だったから。そのまんま!んで,なんとなく大学行きたいなーって思ってたから,まあ理系で進学しようって。ほんとーになんとなくで決めてた。そんで,みんなもこれからだよね。高2の終わりぐらいから,受験勉強を始めていったんだよね。

でも,そんなにうまくいかないんだよね。なんか,勉強に集中できないんよ。勉強してると,どんどん別のこと考えちゃって,もー頭の中グルグル。全然進まないだよね。みんなも,そーだと思うんだけど。部活は今が一番大変な時だし,進路とか,もちろん勉強とか,親とか家族とか,まー恋愛とか,クラスとか先生とか。あーもう頭の中いっぱいいっぱいなんだけど―って感じ。そんで,時の流れって早いよなー。高3になって部活も引退して親とか先生とかとの面談も終わって,ひと段落だと思ってたんだけど,やっぱり頭の中グルグルしっぱなしだった。

なんか,納得できないんだよね。俺,なんでこんなに悩んでるんだろうって。そのまま,受験直前。俺さ,なんとなくで受験始めちゃったじゃん。なんとなく理系だったし,そのままなんとなく理系進学しようって。でもよく考えたら,自分が理系の世界で勉強したり働いたりしてる姿がまったく想像できんかったんだよね。なんか,パソコンと向き合ってひたすら計算したりとか,実験したりとか,工場で働いたりとか。まあ,俺のイメージなんだけどね。それは,ちょっと違うかなーって。

でもそれって,俺の意志じゃないなって。理系に進もうとしていることは,俺の意志じゃないなって気づいたんだ。なんとなくで,大事なもんを決めようとしている自分に納得してなかったんだなって,俺。このままでいいわけねーって思って,ちゃんとやりたいこと考えることにした。

でも,わかんねーんだよね。ずっとなんとなくだったから。なにがやりたいんだろうって。その時,ふと思ったんだよね。そもそもたった18年生きたぐらいで,自分の人生決められるわけないだろって。ってか,大学って何?仕事って何があるの?専門って?地下鉄メトロって?若者に人気のシブヤ?日本のことも全然知らんのに海外?修学旅行ぐらいでしか,県外に出たことねーのにわかるわけないじゃんって。もっとちゃんと世界を知りたい。そんなかで,自分の将来を考えたい。まず,日本の首都に行きたいって思った。

だから,1月のセンター試験が終わった夜に,親に,このまま理系の大学には行けないから,東京の予備校に行かせてほしいって頼んだ。そんで,予備校に通いながら東京で浪人することにした。

浪人中は,いろんな人の話を聞きに行ったし,いろんなことを考えた。もちろん,ちゃんと勉強もしたよ。そんなかでも,一番印象に残ってるのが,一人の先生なんだけど,その先生は,予備校の英語科の主任だったんだ。主任ってことは,一番偉いわけ。でも,その先生,三分の二ぐらいが雑談で,全然英語の授業してくれないんよ。しかも,その雑談の内容がね,哲学とか,数学とか,音楽とか,なんか最終的には,センターの国語の解説したりとか・・・。もーわけわかんないんだよね。

でも,そんな受験生の敵?みたいな先生なのに,すげー人気あるんよ。んでね,なんでかなーって考えたんだけど,その先生,すげー楽しそうに話すんだよね。しかも,内容が濃いってか濃すぎてついていけないんだよね・・・。この人,どんだけ好きなんだよって思った。でも,なんか,この人,すげー生き生きしてるなって。

俺が一番その先生見てて思ったのは,好きなことをやってもいいんだってこと。俺さ,高1の時,結構面倒見てくれていた数学の先生がいたんだけど,その先生に進路どうするんだって聞かれたんだ。俺ね,小学生の時から,人間っておもしろいなって思ってて,心理学の本結構読んでたんだ。本当は,心理学に興味があった。だから,ちょっと自信なかったけど,ぼそって心理学やりたいっ言った。そしたら,先生に,心理はやめておけ,将来に繋がらないから。お前は,理系に向いてるから,理系に進んだ方がいいって言われた。俺ね,そん時,悔しいとかって思わんかったんだよね。あー,俺は,好きなことをやっちゃいけないんだって。向いてることとか得意なことをやるべきなんだって。先生が,俺のこと,思って言ってくれたのもわかってたし。

それから,俺の中では心理学は,ずっと心の奥に隠れてしまったんだよね。俺さ,そうやって,ずっと自分の好きなこととかやりたいことを押さえつけてきたんだ。やるべきことをやらんといけないって思ってたから。でも,だから,俺,全然楽しくなかったし生き生きしてなかったなーって思った。んで,これからの人生も同じように楽しくなくて生き生きしてない人生なんだろーなーって思った。

そこで思ったのが,俺今,誰の人生について考えてるんだろうって。生き生きしてないんだろうなーって,すげー他人事みたいじゃん。誰の人生?って,俺の人生じゃん。ふざんけんじゃねーって。そんな人生嫌だって,俺もあの先生みたいに生き生きしたいって思ったんだ。だから,決めた。やりたいことやろうって。生き生きした人生にしようって。

たくさんたくさん悩んで,俺は大学で心理学を勉強するっていう答えを出しました。でも,この答えはこれから変わることもあると思うし,俺だって,将来,不安だし,これからも,たくさんたくさん悩むだろうなって思う。でも,俺は,それでいいって思ってる。

みんなに聞きたいんだけど,みんなの中で,進路を決めた人もいれば,これからの人もいると思う。みんなはその出そうとしている答えに納得できていますか?自分の意志はちゃんとありますか?もし,そうじゃないんだったら,俺は,もっと悩んでもいいんじゃないかなって思う。

悩むのって,すげーつらいよね。俺も,ずっと悩んでるからわかる。悩んでるときって,なんか同じところをグルグル回ってるみたいに感じると思うけど,そうじゃなくて,らせん階段みたいに,ちゃんと少しづつ進んでるから。だから,俺はたくさん悩んでもいいと思う。だって,自分の人生なんだから。

それで,たくさんたくさん悩んで出した答えなら,きっとたくさんたくさん悩んできた自分が応援してくれるから。自信を持って大丈夫。最後にもう一度,みんなに聞きたいことがあります。今,みんなが考えているのは,誰の人生ですか?これで,僕の話を終わります。ありがとうございました。