9か月革命ってなに?共同注意ってなに?

最近は,自分の研究や基礎の勉強をしていたら,ブログを書くことができませんでした。ブログを書いている暇があったら,研究を進めて,少しでも業績を作らない!と焦っていました。博士課程で生きていくためには,今がんばらないといけません。しかし,ブログ読んでいるよと言っていただけることも,とてもうれしいです。少しでも子どもたちの世界を知ってほしい,少しでも子どもたちが生きやすい世界になってほしいです。幸せとは何かはわかりませんが,少なくとも子どもたちが悲しむことは減ってほしいと思います。

 

さて,今回は,「9か月革命」について説明します。それにともない,「共同注意」,「三項関係」,「社会的参照」,「視線の追従」,「指差し」についてを説明します。人間を象徴する高度なコミュニケーションができるようになり始める時期です。これらは,社会性の発達ともいわれて,人間にしかできないことだと言われています。これらができ始めるのが,9か月ごろなのです。

 

まず,共同注意とは,2人(以上)が同じものに注意を向けることを言います。つまり,お父/母さんと子どもが同じものを見ることを言います。この時期前には,乳児が見たものを,一緒に見ることはできますが,養育者が「ねえ,見てみて!」と指を指したり,視線を向けても,乳児はそちらを見ることができません。

それでは,共同注意ができるようになることは,何を意味しているのでしょうか。それまでの乳児は,二項関係を生きています。二項関係とは,乳児と○○という関係のことです。例えば,子どもとお父さん,子どもとお母さん,子どもとおもちゃ,などで,お母さんとおもちゃで遊んでいる時には,お母さんとおもちゃのどちらかにしか注意を向けることができません。

 

それに対して,三項関係とは,子ども,お父さん,おもちゃの三角形のような関係を言います。子どもは,お父さんと一緒におもちゃを共有して遊ぶことができるようになります。お父さんと一緒に,花を見て笑うことができます(花に対して,親子で共同注意をしている)。このように,共同注意ができるということは,子どもは,三項関係を築くことができるということです。

 

この時期に,指差しや視線の追従(視線を追うこと)ができるようになります。さらに,10~12か月ごろに,「社会的参照」や乳児の指差しが見られ始めます。社会的参照とは,自分ではわからないときに,大人(養育者)の顔色を見ることを言います。例えば,初めてみる動く虫を見た時に,「なんやろ~これ?」とお父さんの表情を見ます。お父さんの顔が,怖かったら,「やべーやつやな。さわらないでおこう」となりますし,にこにこしていたら,「ええやつやな。さわっちゃえ」となります。

 

指差しには,2種類あります。一つ目は,「指令的指差し」で,「あれ,取って!」というものです。二つ目は,「宣言的指差し」で,「ねえ,見てみて!」というものです。自閉症児では,宣言的指差しはしないが,指令的指差しはすることが報告されています。また,指差しは,言語発達とも関係があります。

 

人間特有のコミュニケーションには,「他者と共有する」ことが重要なのです。そして,共有しているものを学習していきます。「ねえ,わんわんいるね!」とおばあちゃんが,指を指して言ったときに,乳児は,「ふむふむ。なるほど。あの動くやつが「わんわん」と言うのか。」と言語を覚えていきます。目線を合わせてから見たものを学習しやすいこともわかっています。アイコンタクトは,今から新しいものを教えるよという合図になっているようです。

 

さらに,指差しや視線には,何かを知らせようとしている「意図」があることを理解していないといけません。これは,「心の理論」の発達には,とても重要なものです。心の理論はとても重要な概念ですので,また次回に説明します。

 

まとめると,9か月前後では,赤ちゃんのコミュニケーションの質が大きく変わります。そのため,「革命」と呼ばれています。赤ちゃんは,お母さんと世界を共有できるようになるのです。さらに,12か月ごろには,自分から指差しや社会的参照ができるようになり,意図を必要とするコミュニケーションができるようになります。

 

とても雑にまとめてしまったようにも思います。この内容は,発達心理学の中でも特に,スーパー重要事項です。ぜひ,学習者の方は,しっかりと専門書を読んでみてください。