ピアジェってだれ?遺伝と環境ってなに?

ブログを書くことを趣味にすれば,息抜きにもなるし,自分の勉強にもなるし,文章を書く練習にもなるし,伝える練習にもなるし,研究のことを知ってもらえるから,一日1時間ぐらいなら,趣味に時間を使っても良いのかなあと思っています。家にいるときは,寝るかお笑いを見ていますが。

 

M1グランプリ(日本で有名な漫才の大会)で,「漫才の歴史は,彼以前,彼以後に分かれる」と紹介される,松本人志や,哲学者ソクラテスのように,発達心理学にも,革命を起こした研究者がいます。それが,スイス生まれの発達心理学者「ピアジェ」です。

 

ピアジェ以前は,「遺伝(生まれ持った能力)と環境(生まれてからの経験)のどちらかが大事なんだ!」という,どっちかが大事だという議論が中心でした。そこに,ピアジェが,「遺伝と環境はどちらも大事で,その相互作用(2つがお互いに影響しあうこと)が大事なんだ!」という,どちらも大事だという考えを強調しました。

 

例えば,私たち日本人は,生まれた時から日本語に特化して生まれてくるわけではありません。実は,赤ちゃんは,英語の「L」と「R」を聞き分けることができます。びっくりですね。わたしは,聞き分けられません。つまり,赤ちゃんは,どの言語にも適応できるように生まれてくるのです。お父さん・お母さんとの関わりのなかで,日本語に特化して発達していき,英語には鈍くなっていきます。これは,「言語」を獲得する能力は,遺伝で生まれ持った能力ですが,日本の文化の中で育つという,環境で生まれてからの経験で,日本語話者になるという,まさに,相互作用が大事なことを表しています。

 

ここで,注意したいのが,発達心理学や心理学が言っている,「遺伝」とは,必ずしも親から受け継いだ能力のことだけを意味していないということです。上でも書きましたが,遺伝は,生まれ持った能力を言います。すこし違和感がある人もいるかもしれません。

 

私たちの日常会話に照らし合わせると,遺伝は「才能」で,「環境」は「教育」という言葉がしっくりきますね。そう言われたら,両方大事だと思うでしょう。さて,才能と教育に関して一つおもしろい事例があります。赤ちゃんは「絶対音感(音を聞いただけで,その音階がわかる)」を持っていると言われています。絶対音感は,音楽に選ばれし者だけの能力(ワンピースでいう,覇王色の覇気みたいな)ではなく,その素質を,ヒトは生まれながらに持っているようです。しかし,生きる上では,必要がないので(言語の方が大事ですから),失わてしまいます。しかし,音楽のトレーニングによっては,絶対音感を維持する(見た目には,獲得する)ことができるようです。私は,今は,音痴ですが,子どものときは歌を誉められました(関係ないですね)。

 

だからといって,小さい時から,たくさん習い事をすれば良いというわけではありません。遺伝と環境の相互作用を強調していることを覚えておいてください。次回は,「発達段階」を紹介しようと思います。なぜ,幼稚園・保育園,小学校,中学校,高校,大学でわかれているのでしょうか。普通の小学生が,いきなり,高校生の授業を受けたらどうなるでしょうか?早ければ良いというわけではありませんよね。

 

おすすめの本は,

『おさなごころを科学する』森口佑介

です。