院試勉強法,英語について

 大学院受験をしている大学生の話を聞いたり,ツイッターを見たりしていますが,オンラインでの試験はやりにくいようですね。臨床心理学の大学院を受ける受験生が多いですね。実験心理学発達心理学での進学は,内部が多いのでしょうか。就職のリスクが先に言われる世の中ですが,勉強したい・研究したいという気持ちを優先できるようになると良いのにと思います。最近だと,教師や保育士の方々も修士課程を経て現場に行く方も増えてきましたね。修士のハードル (就職難や心理的な壁) は,下がってきているのかな?と思ったりもしています。さて,今回は,【英語勉強法】について書きます。

 

 

【英語勉強法】

第一に,心理系の大学院生の生活には,英語は必須でしょう。英語が嫌なら,よっぽど,日本語で最後までやるんだ!という覚悟を持って,日本独特の現象を日本人を対象に行う必要がありそうです。実験系で研究を続けようと思っているなら,読み書き話しが必須です。私の研究室では,基本的に英語で論文を書きます。修論も英語で書きます。国際誌に論文を投稿していくことが大学院生にも当たり前になってきています。私は最近,海外の研究MTGに混ぜてもらいながら,英語を使うタイミングをうかがっています (何人かで議論しているところに,英語で入っていくのをまだ,躊躇してしまいます)。そのうち,発表させてもらえそうなので,少しずつ準備をしています。このように,英語がある程度できないと,そもそも研究活動が難しいと思います。もちろん,科学技術が克服してくれるかもしれませんが。

[追記10/31 国内で臨床心理士になる方や修士課程だけを考えるなら,英語におびえることはないかもしれません。煽ってすいません。博士課程へ進み研究を続けようと思っているなら,英語は必須だと思います。]

 受験勉強に関してですが,専門と同様,大学院ごとに問題の傾向が違います。①民間英語テスト,②総合問題,③和訳のみ,という感じでしょうか。他にもあるかもしれませんが。私が受けた,神戸大は,①と,専門の一部に②がありました。京大は,③でした。

①民間英語テストに関しては,民間テストの点数表から一律に換算するのだと思います。TOEIC 〇〇点は,TOEFL ○○点と同じというものがあって,それを5段階 (A,B,C,D,E)とか,数値 (100 ~ 0)にするのではないでしょうか。基準点はわかりませんが,大学生の平均あたりが,50 ~ 60点くらいだと思っています。私は,一斉受験のTOEFL ITPしか受けたことがありません。私の大学での卒業要件が,TOEFL ITPの500点,TOEIC 600点だったので,これが,60 ~ 70 / 100点くらいと見積もりました。520は最低必要で,550点取れたら良いかなと,3回受けました。4月,5月,6月で,520 -> 527 -> 530という感じで,530点で提出しました。このテストは,一回5000円くらいです。受験校が,このような方式なら,学部3年生以前のうちから対策ができるので,目標点をとってしまいましょう。

 ほとんどの大学では,③和訳が英語のテストとしてあるのではないでしょうか。京大は,本や論文の一節,まるまる和訳というものでした。英語の採点に関しては公平のために,外部機関に委託をすることもあります。そのため,研究科で統一の問題を解くことになるかもしれません。京大教育の場合,専門は各自のコースの問題でしたが,英語は,教育研究科で統一のものでした。そのため,ばりばり実験心理学の人が,教育方法に関する英語に当たる年もあります。おそらく,バランスをとるために,複数の英文を選んでいると思います。

 大学受験と同じように,よっぽど英語に自信があるのではないなら,「直訳」が良いです。SVOC, SVOOにしたがって,きっちり訳していきましょう。こうすることで,語彙と文構造の共倒れは避けられます。やっぱり,すべての専門用語を覚えることはできませんから。私は,すごくショックなミスをしたのを今でも覚えています。”scaffolding”を「足場つくり」と訳すところ,「排斥」という,まったく違う意味として書いてしまいました。今では,当たり前に知っている用語ですし,当時も日本語では知っていたはずです。訳していて,ポジティブな文脈なのに,なぜ,「排斥」なんだ?でも,なんかつづりが,排斥っぽいし,時間もないから,これで行きました笑 院試には魔物が潜んでいるのかもしれませんね。ちょっとくらい間違っても,言いたいことはわかってるし,他の部分はしっかりと訳したからいいかなっと思っていました。

 勉強法ですが,①英単語 (一般のもの,心理学大学院)例文和訳,②論文アブスト&イントロ和訳,(③TOEFL ITPの対策本) を行いました。普段から,卒論や研究計画に使う英語論文は読んでいることは,当たり前のことですよね (ちょっと厳しめに言っています)。

 ①に関しては,大学入試ぐらいのもの (大学入試に使って家にあった『キクタン【basic】4000』)と心理学大学院用のもの (山崎有紀子『心理院単』)を使っていました。じっくり覚えようとしても時間がもったいないので,視覚ワーキングメモリを利用して,パッパッパッと繰り返し目の前に提示しました。ある程度覚えたかなと思ったら,心理院単の右ページ?をすべて和訳して自分で採点をしました。一文ずつなので,1文1分くらいでしょうか,20問まとめて,20分くらいでやっていました。今手元にないのですが,確か,心理学分野ごとに分かれていたかと思います。慣れてきたら,頭の中で和訳して,答えを見ながら確認していました。キクタンはまあ,暇なときに見る感じでしょうか。意外と日常単語や動詞を忘れることがあるので,気をつけましょう。

 ①がある程度できるようになったら,少し長い文を和訳する練習していくのが,良いでしょう。よく『ヒルガード』を和訳するのが良いと言われます。英語版と日本語版があるので,便利ですね。私は,「生物心理学」と「発達心理学」だけ訳しました。長くて疲れるので,自分の専門だけで良い気がします。要約だけ訳すのも良いですね。その後は,自分が卒論と研究計画に使っている論文のアブストとイントロを和訳しました。その論文の理解が深まるし,専門の勉強になるし,論文構成の参考になるし,英文和訳の勉強になるし,一石四鳥だと思います。たぶん10本くらい訳しました。そのくらいで十分かと思います。論文の英語は,基本的に構造はわかりやすく書かれているはずです (はずです) から,良い勉強材料になりますね。

 あとは,英語で答える問題があるかもしれません。内容要約するための語彙は準備しておきましょう。examine, investigate, show, suggest, aim, hypothesis, participant, などでしょうか。

 

 連続で院試を受けている方もいますね。すぐに切り替えられないこともあります。それだけ,一生懸命準備してきたのですから。頑張り切れなかったことを後悔している方もいるかもしれませんね。どうか最後まであきらめずに。応援しています。心理学を勉強している仲間がいるというだけで私はうれしいです。

 

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院試勉強法,専門問題について

 鴨川を横目に大学に自転車で通っているのですが,子どもたちが水遊びをしていてとても楽しそうです。私は,田舎出身なので,友だちと遊びに行くところは,山と川ぐらいだったので,なつかしいなあと思います。野鳥探索もしました。「オオルリ」というきれいな青い鳥が地元の山にいるのですが,双眼鏡で見つけたときは,その美しさに心を撃ち抜かれましたね。当時は,大学に行ったり,まして,大学院に行ったりするなんて思ってもみなかったです。水切りのプロを目指していました。

 今回は,院試の勉強法について,書こうと思います。ツイッターなどで,大学院受験生の方の勉強つぶやきを見ていると,よく勉強をしていてすごいなあと思います。私が何かを書く必要なんかないし,むしろ私がいろいろ教えてもらった方が良いかもしれません。私も冬に,博士課程入試を受けなくてはいけないので。もし,気分転換や参考程度に読んでいただけたら良いです。私が重要だと思うのは,どんなことが聞かれようとも自分の回答のテンプレを作っておくことです。合格基準としては,先輩と話している際には,だいたい7割できればいいかもしれないし,競合相手がいないなら,6割でも受かるかもしれないって感じかなと思います。しかし,受験者が多ければ,合格点順になるでしょう。

 

【院試の勉強法】

①専門,②英語,③面接,について書きます。①専門は,語彙説明,内容要約,研究計画,統計についての勉強法を紹介します。まず,一番初めにやることは,過去問研究でしょう。志望大学の過去問を見て,どのような問題がでるのかを把握しましょう。

 語彙説明は,3~5つの「専門用語を説明せよ」というものがほとんどではないでしょうか。そこで気になるのが,どこまで詳しく書けばよいかと文字数です。一番正しいのは,回答用紙を手に入れて,そこから逆算するです。しかし,それはなかなかできないですよね。私が実際に受けた感覚だと,B5ノートの半分がMAXくらいかなと思っています。書く内容も自分なりのテンプレを作っておくと良いでしょう。特に,私は発達が専門なので,①定義,②わかっていること (いつ,どのように発達するかなど),(③他の概念との関係),などを書くようにしていました。必要なことが書いてあれば,別にたくさん書く必要なないです。

 さて,どんな語彙が出てくるのでしょうか。過去問のワードをすべて説明できるようになるのは,当たり前ですが,次に何がでるかを予測しないといけませんね。私は,本番の語彙説明では5/6,予想が当たった (事前に答えを準備していた) ので,しっかりと答えることができました。まず,入門書レベルの語彙は必須でしょう。索引に出てくる語彙は,ノートにまとめるか,コピーをとって何回も確認するようにしましょう。私は,大学生の時から,勉強になりそうな本を読んだときは,索引のワードをメモして覚えるようにしていました。完璧な説明ができるようになるには,なんとなくわかる段階が間に必要だと思います。次に,受験するコースや講座の先生の本の目次や索引からキーワードを確認しましょう。次に,最近出された論文のキーワードを確認しましょう。私は,該当の先生方の最新論文5報ずつまで確認しました。

 私は,昔からノートにまとめることができないので,ノートはあまり書いていません。入門書や辞典,論文の定義などをコピペして,覚えれば大丈夫でしょう。入試が近づいてきたら,予想問題を作成して,自分で問いて,自分で採点をしていました。過去問から,だいたいそれが何点くらいかを推定して,そこから部分点を推定しました。5点だったら,2点は①定義,2点は②わかっていること,1点は③他の概念との関係,などです。時間を測って,一問だいたい,10~15分で書いてみて,その後採点して,調べながら完璧な答えを作る。その作った答え集をノートとして直前は読み込みました。

 内容要約も自分のテンプレを作りましょう。まあ,シンプルに,①やったこと,②目的と仮説,③方法,④結果,⑤考察,という論文のアブストのフォーマットにあてはめながら,論文を読んでまとめればよいです。ちなみに,大体の論文は,考察の最後にも,サマリーとして要約を書いているので,そこも参考に勉強しましょう。普段の勉強の時から意識して,まとめるようにしておくと良いです。

 研究計画もテンプレです。研究法ごとに,自分なりの研究を考えておきましょう。調査法や観察法,実験法ごとに参考になりそうな論文を見つけておいて,それらをちゃんと理解しておく。本番では,与えられたテーマの変数を入れ替えればオーケーです。私は,「道徳性の発達に関する研究計画を書きなさい」に対して,自分が知っていた嘘の研究を利用しました。シンプルに,従属変数については,嘘の善悪の判断を道徳的行動の評価と言い換えればいいし,独立変数には,意図や結果などを操作すれば良いです。似た研究を知っている場合は,もっと答えやすくなりますよね。私は,指導教員に大学院進学を相談した際に,「テーマを言われてら一瞬で研究計画を考えられないとだめ」と最初に言われました。これは修業が必要ですが,一度こつがつかめると,簡単に思いつくことができます。

 統計は,過去問を見て,どういう対策をするかを考えましょう。基礎的な計算はできるようにしておきましょう。分散や標準偏差,標準化,相関係数有意水準の表の見方,等,統計用語の説明とどういう場面で使うのかを説明できるようにしておきましょう。t検定,分散分析,χ二乗分析,重回帰分析,相関,因子分析などは,よく使うので,最低限調べておいた方が良いかもしれません。 

 ②英語と③面接は,次の機会に書きます。

 

 心と体に気をつけて,無理はしないようにしつつ,悔いの残らないようにがんばってください。それが一番難しいのですが。大学院生活は院試の忙しさが続くので,慣れておきましょう!もちろん,プレッシャーからは解放されるから,比較的楽しんで (?) 研究を続けられますよ。まずは,夏・秋入試がんばりましょう!応援しています。

 

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入学前に確認した方が良いこと,卒論で気をつけた方が良いこと,倫理審査について

 最近は,英語での執筆 (修論・レジレポ) と日本語での執筆 (ブログ) を習慣にしようと思って頑張っています。ポスター発表用のポスターや実験用コード修正,いろいろな申請書の作成に追われているのですが,情報を共有することは,昔から好きです。今回は,【入学前 (受験時に) に確認した方が良いこと】,【卒論で気をつけた方が良いこと】,【倫理審査】について書きました。

 

【入学前 (受験時に) に確認した方が良いこと】

 ①指導教員の移動,②大学院生の仕事量,に関しては,研究室に入ってから,こんなはずじゃ。。。となることもあるので,必ず確認をしましょう。まず,①指導教員の移動についてです。人事の問題は,私にはよくわかりませんが,指導教員が移動してしまうことは,少なくないです。学生は,その大学院の研究科に所属しているため,簡単に先生についていくことができません。方法としては,1) 現在の研究科内の別の研究室に移る。2) 新しい大学院研究科を受けなおす,3) 現在の研究科内の別の研究室に籍を置きながら,新しい研究科で研究をする (指導委託) があると思います。

 私は,そういう運命なのかもしれませんが,学部の指導教員が卒論提出年度に,サバティカルで海外に一年行ってしまいました。結果的には,私も一年留学をしたので,指導をしてもらいました。その一年,同期の学生は,代理の先生が卒論指導をしていました。今年,その先生も他大学に移動したようで,後輩たちが心配です。大学院進学後も,M2の四月から,指導教員が移動をしてしまったので,私は,上記の方法 3) の状態です。そのため,紙面上の指導教員と現実的な指導教員は異なっています。ちょっと,研究をする上では,やっかいですが,両方の先生からよくしていただいています。

 こういう状況は,研究をする上では,余計なストレスで,避けた方が良いと思います。特に,修士は2年間なので,先生が1年いないのは大きいですよね。指導教員の定年などもあると思いますので,研究室訪問の際には,必ず移動の可能性を聞きましょう。

 ②大学院生の仕事量に関してです。研究室や指導教員の仕事量によっては,学生がそれを手伝うことになるかもしれません。例えば,実験参加者の登録制度がある場合には,新規の登録の手続き,問い合わせの電話対応,登録制度の維持やホームページの作成などの仕事があります。業者や秘書さんが担うことがほとんどだと思いますが、院生が手伝うこともあるかもしれません。指導教員の講演に付き添って,動画を撮ったり,会場の運営をしたりすることもあります。研究活動以外の仕事でいっぱいいっぱいになって,自分の研究に使う時間がなくなってしまうかもしれません。研究室の研究費や運営費の関係で,無給での仕事もあるかもしれません。こういうところは,先生に聞きにくいと思いますので,大学院生に聞くと良いです。

 上記の2点は,先生に悪気があって起こることではないですが,学生側も自分の研究生活が懸かってきますので,しっかりと確認しましょう。

 

 【卒論で気をつけた方が良いこと】

 大学院に進学して,特に国内で研究を続けていこうと思っている方は,学振DCというものを目指す方が多いです。ざっくり言うと,博士課程の期間 (上限3年),生活費月20万円と研究費年150万円以内 (以内がポイントです) が2~3年程度もらえる制度です。修士2年の5-6月にその申請書を提出するのですが,「研究遂行能力」の欄に,研究業績を書くことになります。これは,研究発表や論文について書きます。博士課程進学を考えている学部生には,卒論をジャーナル論文として投稿できるレベルを目標とすることをおすすめします。一つ目の論文業績になるからです。

 研究論文を書いて,受理されるのは,とても時間がかかります。卒論を書く段階でもかなり苦労をしているのではないでしょうか?修士1年の間に,論文を完成させて,どこかのジャーナルに投稿・受理がM2の5月までに間に合えば,研究業績として書くことができます。必須ではないですが,少なくとも論文が受理されるまでの流れと努力を経験しているアピールにはなります。論文を持っているからといって,学振に通るというわけではないので注意してください。

 

【倫理審査】

 研究をする際には,「倫理」が大切です。その研究が倫理的に認められている (参加者に害はないか?研究する意義はあるか?結果が果たす役割は何か?等) ことをしっかりと考えましょう。研究者には当たり前なことですが,大学生が知らないことに,「倫理審査」というものがあります。これは,これからやる研究が倫理的に大丈夫であることをチェックする制度です。ここで,OKがもらえないとその研究をしていけません。そして,このOK承認がないと,現在ではほとんどのジャーナルでは,論文を受けつけてもらえません。

 上記で書いたように,卒論をジャーナル論文として投稿することを目標にするのであれば,当然この「倫理審査」を通らなくてはいけません。後からこれを知っても遅いこともあります。私は当時,このことを知らなくて,現在論文を投稿するためにいろいろと苦戦しています。大学院に進学を希望している方は,卒論研究の際に,指導教員に倫理審査に関して,必ず確認をしましょう。卒論レベルでは,いらないと言われるかもしれませんが,投稿論文として将来出したいことをしっかりと伝えましょう。卒論は,名刺代わりだし,デヴュー作です。修士1年の間は,これを研究発表することが多いでしょう。

 

 私は,卒論を日本語で提出しましたが,その後卒業までに,そのまま英語版を作成しました。そして,M1の7月に国際誌に投稿してから,連敗続きで今にいたります。結局,学振には間に合いませんでしたが,論文投稿や修正の中でいろいろなことを経験できました。修士1年の間は,卒論研究を学会や研究会で発表しました。卒論は,黒歴史だという方が多いですが,立派な研究デヴュー作です。大学院進学後の計画を考えていると思いますが,順調に進みたいのなら,卒論をしっかりと研究・執筆しましょう。

 

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研究計画書について

 先日,私が卒業した大学の3年生から,大学院へ進学したいからお話をしたいという連絡がありました。このようにブログを書いているのは,大学院入試や大学院生活に関して,何も情報がないなかで勉強をがんばっている方を少しでも応援したいと思ったからです。私自身も,当時わからなかったことばかりでしたし,失敗もありました。科学は人から人へと,引き継がれていくものです。上の世代が苦労したことを,次の世代が同じように苦労する必要はありません。積み上げられた情報や知識の上に新しいものを積み上げていくのです。私がわからなくて,困って,あきらめたことを同じように,今の方が繰り返す必要はないですし,余計に苦労しなくてもいいと思っています。少しでも,私の記事が,誰かの参考になれば幸いです。

 

【研究計画書】

 研究計画書は,大学院に進学してからの研究計画,つまり修論の計画を書きます。しかし,ほとんどの人が,大学院に進学してから,提出した研究計画書とは違う研究を行っています。私は,「子どもの知らないふりの発達」として研究計画書を提出しましたが,現在は,「幼児の視覚的意識の発達」というテーマで研究をしています。

 研究計画書は,あなたが何について興味があるかを示すものというよりは,「研究遂行能力」を測るものです。つまり,あるテーマに対して,①先行研究を調べ,②問題を見つけ,③仮説を立て,④研究方法を考える,までの流れができるかを試されています。それに加えて,どうしてこの研究室に進学を希望しているかを,研究計画と関連付けて説明する必要があります。ただ実際のところ,すごく特別なテーマではない限り,たいていの研究室に行っても研究ができるわけですが,「ここでしかこの研究はできないんだ!」という思考モードで書きましょう。よくあることですから,

 研究計画書の評価に関して,どの程度のクオリティーが必要でしょうか。まず,問題と目的の流れが論理的であることが大切です。指定の文字数に従って,そのテーマの概要・定義,先行研究の流れ,問題点 (まだわかっていないこと,先行研究同士の矛盾など),本研究で明らかにすること (目的),仮説の順でたいていは書くと思います。自分や誰かに読んでもらいながら,スムーズに読めるようになるまで推敲しましょう。

 次に方法です。問題と目的の中で,自分が設定した仮説を検討することができる方法を考えます。特に実験心理学方面を考えている方は,「要因計画法 (実験計画法)」を意識することが大切です。要因計画法とは,仮説検証研究の際に,従属変数と独立変数 (要因) を設定し,独立変数を操作することで,従属変数を比較するものです。例えば,学業成績と教授法の関係を検討することを目的とします。教授法Aよりも教授法Bのときに,学業成績は高い,を仮説とします。方法は,テスト成績 (従属変数) と教授法 (独立変数) を設定した際に,教授法Aの学業成績と教授法Bの学業成績を比較することになります。さらに,この実験では,同じ人が同じテストを受けることができませんよね。そのため,教授法Aと教授法Bは,それぞれ別の参加者が受けることになります。このように,参加者が異なる要因を,「参加者間要因」,朝と夜の体温など,個人差が大きく,同じ人が含まれる要因を,「参加者内要因」といいます。上記の教授法と学業成績は,一要因参加者間計画となります。例えば,ここに朝ご飯の影響みたいのを入れるとします。2 (朝ご飯:食べた・食べない) × 2 (教授法:A・B) の二要因参加者間計画となります。要因の操作をきちっとして,パラメトリックだったらANOVAでぽんっ,ノンパラだったらχ二乗でぽんっ,が一番シンプルでしょうか。

 研究計画書は,どこまで厳密に書くべきでしょうか。もちろん完璧で,すぐでも研究を始められるものが良いとは思います。でもだったら,今その大学でその研究をやってしまえばいいと思います。未知の要素はあってもしょうがないと思います。特に,分野を変える際には,なおさらです。勉強をしながら,その研究室の手法を取り入れたいというのも,柔軟性のアピールになるのではないでしょうか。中途半端な知ったかぶりはばれるので,正直に今はまだわからないが,今後取り入れたいと書いてもいいと思います。

 研究計画書を一から書くだけでも大変ですよね。卒論や院試の勉強をしながらですから。ギリギリで提出することになるかもしれないし,不本意なものを提出することになるかもしれません。締め切りまでに書けたら〇,論理的であれば◎,先行研究と要因計画がしっかりしていれば三重〇だと思います。出せたら〇です。研究計画書が書けなくて出願を諦める人も多いですから。研究計画書をちゃんと書いて,願書を出願できたこと自体が,相当な仕事で,よくがんばっていますよね。

 研究計画書は,必ずだれかに読んでもらいましょう。添削してもらえたら,なおよしです。私は,一度,学部の指導教員にチェックしてもらい,二回目もメールで送りましたが,出願には間に合いませんでした。先生方も忙しいです。一週間くらい余裕をもって添削をお願いしましょう。先生が見てくれない場合は,大学の同期や会社の同僚などでも良いので,論理的か,矛盾はないか,文章がおかしくないかをチェックしてもらいましょう。誰もがみな,協力的かどうかは保証できません。すごく面倒見が良い人もいれば,なんにもしてくれない人もいます。希望の研究室の先生や大学院生が添削をしてくれるかもしれません。私も昨年は,後輩二人の研究計画書を添削しました。確か,二回ずつ赤入れをしたと思います。どんどんよくなることがわかります。赤入れされるのは,正直へこむかもしれませんが,フィードバックされて,それを修正することで,格段に研究計画書は良くなります。文章を書くことに慣れていないなら,最低二回は,誰かにチェックしてもらいましょう。

 発達心理学に関する研究計画書なら,私も見ます。もし,見てくれる人がいなくて困っている場合は,ご連絡ください。私も少し忙しいので,すぐに返すことはできませんが,何かコメントをできたらと思います。

 私が当時参考にした文献です。

後藤宗理・大野木裕明・中澤潤 (2000). 心理学マニュアル 要因計画法. 北大路書房

清水由紀・林創 (2012). 他者とかかわる心の発達心理学. 金子書房.

坂本真士・大平英樹 (2013). 心理学論文道場ー基礎から始める英語論文執筆. 世界思想社

都筑学 (2006). 心理学論文の書き方ーおいしい論文のレシピ. 有斐閣

 

暑さとプレッシャーで,疲れやすくなっているかもしれません。

私も睡眠のリズムが崩れたり,締め切りやタスクに追われたりで,

ツイッターに逃げていることがあります。。。orz

どうか,心と体に気を付けて,勉強・研究がんばりましょう。

 

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研究室選び,研究計画書について

研究MTGがあって,その資料準備で早起きしたのに,ブログを書いています。今年度は,MTGやゼミの95%ぐらいは,ZOOMでした。現在,共同研究の海外の先生 (日本人の先生なので日本語) と指導教員で研究MTG (私の修論研究) をしています。

来年以降,学振や補助金などのお金があれば,共同研究者の先生のところに研究しに行きたいと思っています。成人の研究をしているラボですが,そこで,実験方法や技術などを修行しながら,それを子どもの研究に応用していきたいと考えています。

 

さて,記事を読んでいただいた方から,コメントをもらえたので,まずそれに答えます。

質問:なぜ京大と神大 (神戸大学) を受けたのか?

回答:まず,どちらともに発達心理学を専攻できる研究科・コースがあります。次に,私が卒業研究で行っていた「子どものうそ」研究に関して,指導可能な先生がいます。研究室訪問のメールをした際に,両研究室ともに,指導可能であるという返事がありました。神戸大学には,「心の理論」や「道徳性の発達」,「子どものうそ」を研究している先生がいますし,私の学部指導教員の知り合いでもありました。京大には,「実行機能」「NIRSを用いた脳発達」,子どものうそ研究の権威であるトロント大学のKang Lee先生と研究をしていた先生がいます。あと,関西に行ってみたかったのと,国立大学がいいかなという後付けの理由もあります。

とても悩みましたが,将来を考えると,私は行動指標だけでなく,神経指標も扱いたいと思い,脳発達やそれを計測する実験設備,技術のある研究室が良いと判断しました。また,大学院への進学を考えた時,研究テーマを変えようとも考え始めていました。当時の研究計画は,「子どもの知らないふりの発達」で書いていました。これは,卒論を発展させたものです。しかし,「意識」を研究してみたいという子どもの時からの思いがありました。研究室訪問の際に,「何に興味がある?」と聞かれた際に,私は,「道徳性」ではなく,「意識」と答えていました。

ちょうど,京大の先生が,意識の研究に関わっていたのもあり,京大に進学をしました。ですので,「意識」と「発達」,「脳」を組み合わせて研究できるベストな選択をしたと思っています。EEGほしいです。不思議なことに,その年の神戸大の院試では,「空想の友達」がテーマでしたし,京大の院試では,「道徳性の発達」がテーマでした。もちろん,ばっちり対策をしていました。

 

【研究計画書について】

大学院に進学するためには,①研究室訪問or入試説明会,②願書ゲット,③願書提出,④研究計画書提出,⑤一次試験,⑥二次試験,⑦合格発表,⑧進学先を決める,⑨大学院入学,⑩この先どうしようかな。。。

だいたい,上記の流れになると思います。今回は,④研究計画書について,書きます。研究計画書とは,ざっくりいうと,修論研究で何をしたいか,しようと思っているかを書くものです。大学によって,書式や文字数が違いますし,書くことを指定している大学やおおざっぱで何も指定しない大学もあります。また,研究計画に加えて,志望理由も書く場合があるので,公私を混ぜて書くことが必要かもしれません。

私が受けた神戸大学は,ざっくりなタイプでしたし,京大は,きっちり指定がありました。文字数の違いもありましたね。京大の指定に従って,全体的な研究計画書を作りました。そこから,文字数と内容を少し修正したものを神戸大の研究計画書としました。京大は,A4で5ページでしたが,神戸大は,A4で2-3ページくらいだったと思います。京大の場合は,研究報告書 (卒論) と研究計画書を5ページずつ提出するので,準備が大変でした。次の記事に続きを書きます。

 

研究計画書に関して,何かコメントや質問あれば,お願いします。

 

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院試で問われているもの

 今日は,朝早起き (寝れなかった) して自転車に乗っていたのですが,朝はけっこう涼しいんですね。最近は,昼頃から活動していたのですが,朝から活動するようにしようと思います。今日は,生活リズムを調整するために,寝ずにこのまま活動を続けようと思います。

 ここ最近は,子ども向けのオンライン視覚実験の課題作成を行っています。プログラミングが得意なわけではなく,かつ,最近使い始めたソフトなので,なかなかうまくいかなくてしょんぼりする日々ですが,少しずつ改善している気がします。周りの人に急かされつつ,自分のペースでやっていこうと思います。

 今回は,【院試で問われているもの】に関して書きます。

 

【院試で問われているもの】

 私が知る限り,院試の問題は,①語彙説明,②内容要約,③ケーススタディ,④研究計画,⑤統計,⑥英語,で構成されているのではないでしょうか。どうして,このような問題構成になっているのでしょうか。大学院入試は,受験者が大学院での研究活動を行う上で最低限の知識や技能を身に着けているかを試すものです。つまり,大学院での研究や臨床実習に必要な能力を見ています。しかし,4年生は,研究活動として,卒業研究・論文を書いていますよね。卒論を書いている方なら,上記の院試の問題構成の意味に気づくでしょうか。そうです。すべて,卒論や修論を書くために必要な技能です。

 研究計画を立てずに,いきなり研究を始めることはできません。研究は,テーマが決まったら,そのテーマの先行研究を知らべます。最近では国内の研究でも,査読付きの英語論文が研究の中心になっています。先行研究を調べるためには,いくつも英語 (⑥) の論文を読まなくてはいけません。さらに,心理学の研究は,統計的分析によって仮説を検討するものがほとんどです。研究の結果は,統計 (⑤) の知識がないと理解することができません。やっかいなことに,研究の目的やデータの種類によって,分析方法は変わってきます。

 さて,先行研究も集まってきました。これで,そのテーマに関して,どこまでわかっていて,何がわかっていないかが見えてきたと思います。ここからが,あなたのオリジナルです。独自の着眼点から,もし○○ならば,△△だろう!という仮説を立てました。どうやって,その仮説を検討しますか?ここで,研究計画 (④) を考えます。独立変数や従属変数は何か?実験群と統制群をどうするか?参加者内なのか参加者間なのか?どのような分析を行うか?などなど,洗練された研究を行うためには,洗練された研究計画を考えることが必要です。ここでも統計の知識が生きてきますね。

 では,卒論のイントロを書きましょうか。広めな話から研究のテーマに入っていきます。そのテーマの専門用語や論文の中で使う専門用語を定義する必要がありますよね。ここで,語彙説明 (①) の技能が必要になります。過不足なく,その用語の定義を書く。そして,その語の重要度や位置づけによっては,さらに細かく書く必要があるかもしれません。そして,先行研究のレヴューを書きます。さて,どうやって書くか?先行研究の重要度によって,一文でいいのか,方法や結果の詳細まで書くかが決まります。ここで,内容要約 (②) の技能が必要になります。卒論を英語で書いている人は,英語の技能も必要ですね。ちなみに,京大の発達は,修論を英語で書きます。

 さて,方法書いて,実験します (ザーッと省略)。さて,データを分析しましょう。分析方法を決めていたからといって,簡単にできるとは限りません。パソコンが出した数字の集まりのどこが意味のある (必要な) 数字でしょうか?なんか,数字がおかしいかもしれない。どこかでミスっちまったかもしれない。やべえ,どこで間違えた?こういうときに,統計 (⑤) の知識が必要でしょう。まあ,ちょっと強引かもしれないけど。

 その後,無事に結果と考察を書きました。最後に,要約を書きます。最近は,要約を英語で書く大学も増えてきていますね。内容要約 (②) と英語 (⑥) の合わせ技です。

 ケーススタディ (③) は,臨床心理系で良く出るかもしれません。実習や現場に出た際に,ある状況において,その状況の理解と介入方法をその場で考えることためのものでしょう。

 上記のように,院試の問題は,研究活動と繋がっています。答え方がわからない,模範解答がわからない。そんなときは,卒論に使っている先行研究を読み込んでみるのが良いのではないでしょうか。あるいは,重要だと思われる論文。専門用語の定義の書き方,研究計画の立て方,目的・仮説と統計的分析の関係などなど。院試が重要で大変なのはわかります。ですがやっぱり,院試は,研究を続けるための中間テストのようなものです。院試の勉強を利用して,研究の技術や専門知識を身に着けると思ってぜひがんばってください。今,頭を抱えながらやっている受験勉強には,ちゃんと意味がありますし,未来につながります。研究計画を考えることも同様です。次回は,研究計画に関して書こうと思います。どうか,暑さや世間や受験に負けないように。

 

質問やコメントがあれば。

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大学院・研究室選び

 暑いですね。一人暮らしの学生は,大丈夫でしょうか。電気代の節約のために,図書館やバイト先が,涼みポイントだったと思いますが,今年はどのようにお過ごしでしょうか。熱中症にお気をつけくださいね。今回は,以下について書こうと思います。

 

【大学院・研究室選び】

 私が大学院・研究室選びで重要視したのは,①指導教員の研究テーマ,②研究室でできること,③指導教員の指導方針,④研究室や研究科の大学院生,でした。これらのことは,研究室訪問の際に必ず確認した方が良いです。指導教員や研究室が自分に合うかどうかをこちらから試す気持ちで良いと思います。

①指導教員の研究テーマ

 私は,認知心理学発達心理学の分野の研究をしたいと思っていたので,全国の大学院で研究室を持っている当該学問の研究者を調べました。方法としては,i) 本の著者から手繰る。ii) 各大学のホームページから手繰る,iii) リサーチマップから手繰る,ことをしました。

 i) 本の著者から手繰るに関しては,入門書や専門書は,テーマごとに複数の先生が本を書いていますので,おもしろいなと思った章を担当した先生のホームページや出している本や論文のタイトルを調べました。発達心理学に関しては,清水・林 (編)『他者とかかわる心の発達心理学』がおすすめです。12人の発達心理学の講師や研究員,准教授の研究をバリバリやっている (であろう) 先生方が自分の研究について書いています。この本は,研究計画を考える際にも役立ちます。認知心理学に関しては,日本認知心理学会 (編)『認知心理学ハンドブック』を読みながら,先生や研究室を調べました。

 ii) 各大学のホームページから手繰りに関しては,発達心理学認知心理学は,研究科の名前ではあんまり見つからないですが,だいたい,教育学研究科や文学研究科にあります。その時ついでに,メンバーなどを見て,大学院生や研究室の構成員を見ました。

 iii) リサーチマップは,ほとんどの研究者が登録してあるので,名前を検索すると出てきます。現在の所属先や著作物,共著者の一覧がわかるので便利です。

 そのうえで,私は,卒論のテーマだった,子どものうそ・欺き研究に関係している,「心の理論」,「道徳性」,「欺き」,「実行機能」などの研究テーマに関わる先生に絞りました。

②研究室でできること

 私は,実験的方法で,行動指標に加えて,神経指標も計測したいと考えていたので,その先生がそういう研究をしているかどうかを調べました。例えば,NIRSやEEGを研究に取り入れたいと思っていても,その研究室にその器具がなければできません。逆に,先生や研究室の院生や研究者がその器具の操作方法に詳しいなら,いろいろと教えてもらえるかもしれません。

③指導教員の指導方針

 研究生活をしていくなかで,指導教員の方針は重要です。放任主義の研究室もあれば,トップダウンで,先生の研究を手伝うことが当たり前の研究室もあります。私が重要だと思ったのは,i) 先生や大学院生が第一著者で定期的に論文を出しているか,ii) 院生が自由に研究をできるか,です。

 i) 先生や大学院生が論文出してるかに関しては,指導教員自身が,研究することを続けていること,大学院生への指導をしていることを示します。特に,国際紙に英語でしっかりと論文を出していることがポイントでした。私は,のんびりな先生や研究室よりも,ガンガン研究して,論文を書いていく,スタイルが好きです。

 ii) 院生の自由に関しては,院生の研究の主軸が院生であって,指導教員がそのサポートをしてくれるかです。指導教員が研究のテーマとは違う場合に,そのテーマに詳しい先生を紹介してくれたり,研究会を紹介してくれるなど,研究のチャンスを広げるサポートをしてくれる先生もいます。その逆に,院生は,研究室の研究テーマの一部を担い,研究は,研究室内で完結させて,外部とのコミュニケーションを許してくれない先生もいます。研究室を離れることになっても,研究を応援してくれる先生が理想ですね。

④研究室や研究科の大学院生

 同期の存在は大切だと思います。同じ研究室の院生だけでなく,研究科の別の研究室にも院生がいて,少し違う視点から研究の話ができることは,研究生活をするモチベーションになります。先生や研究室の愚痴を聞いてくれる貴重な研究仲間でしょう。こういう点から,比較的大学院生が多い,研究大学は良いと思います。そして,将来のキャリアを考えると人脈は大事です。優秀な同期や研究仲間がいると刺激にもなります。

 

 とりあえず,以上にします。こういった情報は,必ず研究室訪問で,先生に直接聞いたり,大学院生に聞いたりしましょう。特に,大学院生がどういう生活をしているか,大学院生から見た先生はどうかなどは大切です。ここに決めた!と思っているとき,この先生はすごい!どんなことがあっても自分は大丈夫だ!と思ってしまうものです。しかし,大学院に入ってから,先生と合わなくて,研究が嫌になったり,大学院をやめてしまったりすることも少なくありません。指導教員と研究室を選ぶのは,学生側ですので,あまり先生を神格化せずに,大学院や研究室を選びましょう。

 

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大学院進学への道

 世間はお盆休みなので,研究を少し中断して,大学院入試を受けるまでを振り返ろうと思います。心理系大学院,特に発達心理学に関して,院試を受けようと思っている方の参考になりましたら幸いです。

 コロナ禍,猛暑の中,周りが夏休みで遊んでいる中,院試の勉強をしている方々,不安な方もいるかもしれませんね。どうか心身ともに無理のないように,がんばってください。応援しています。

 

私は,

京都大学大学院 教育学研究科 発達科学コース 

神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 人間発達専攻 心理系

の2研究科を受験し,合格し,①京大の発達に進学しました。

 

大学は,

横浜市立大学 国際総合科学部 国際総合科学科 国際教養学系

でした。理学系で入学して,2年時から国際教養学系に転学系・進級しました。

発達心理学ゼミに所属し,卒業論文も発達研究で書きました。

子どもの嘘の発達に関する研究を行いました。

心理学入門,心理学,発達心理学教育心理学,臨床心理学,精神分析,集団心理療法,心理学実験法,社会心理学,など開講されている心理学の授業 (半期) すべて受講し,18単位取りました。

 

その他,

大学受験のために予備校の理系クラスで,1年浪人をしました。

学部時に,フランスの大学の哲学部に1年交換留学をしました。

ストレートで研究を続けている同い年の方からは,2年遅れています。

 

発達心理学での大学院進学の決断について】

 大学院進学は,大学入学前の浪人時から決めていました。当時は,哲学か心理学のどちらかで行きたいぐらいの曖昧な感じでした。ゼミ選びの際に,実験や数学を使って実証的に研究できる心理学をやろうと思い,それができそうだったのが,発達心理学のゼミだけだったので,そこに入りました。子どもも好きだったので。だから,最初に関わることになった心理学は,発達心理学です。卒業研究をしている際に,もっと子どもや発達に関する勉強と研究を続けたいと思いました。そして,そのまま発達心理学で大学院に進学することにしました。指導教員から,心理学の大学院生の指導の制度が整備されていないから,外部の大学院に行くように促されました。

 

【院試の勉強に関して】

 私のゼミには,2,3年に1人くらい,外部の大学院に進学する方がいましたので,指導教員もサポートしてくれました。具体的には,研究計画書を見てもらいました。それ以外に,大学には,①精神分析,②臨床心理学,③発達心理学のゼミがあったので,そこの学生で大学院進学を考えている学生に声をかけて,情報交換会や勉強会を行いました。そこでは,ヒルガードや心理統計を輪読,卒論や修論の読み合い,院試の対策を行いました。研究大学ではない,大学院生もいない,心理学の授業もほとんどない,という中で,勉強を続けるためにモチベーションを保つためには,サポートし合う仲間が必要だと思いました。私の代が4人,次の代が1人,全員志望校に合格し,現在大学院生をしています。私以外は,みなさん,臨床心理系です。

 

 具体的な院試の勉強法やおすすめの文献などを次回から,書いていこうと思います。

需要があるかはわかりませんが,誰かの生きるモチベーションになれば幸いです。

ブログのコメントやツイッターのメッセージ,質問箱的なものに,質問やコメントをいただけたら,できる限り答えたいと思います。

 

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大学院生になってからどんな本を読んだの?

こんな時だからこそ前向きに本を読みましょう編のおまけです。私が大学院に入学してから読んだおすすめ本10冊です。意識シリーズですね。好みが偏っているので,恥ずかしいですが。論文と違って,一般向けの本は,著者の主観や人生観?が入っていておもしろいです。論文読んでて行き詰ったら,その人の本を読むこともよくあります。

 

大学院で読んだ本です。

 

『意識はいつ生まれるのか―脳の謎に挑む統合情報理論』トノーニ・マッスィミーニ

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『意識をめぐる冒険』クリストフ・コッホ

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『自己心にやってくる』ダマシオbookmeter.com

 

『タコの心身問題―頭足類から考える意識の起源』ピーター・ゴドフリー=スミス

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『〈わたし〉はどこにあるのか:ガザニガ脳科学講義』ガザニガ

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『脳の意識機械の意識―脳神経科学の挑戦』渡辺正
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『意識と脳ー思考はいかにコード化されるか』ドゥアンヌ

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『生存する意識―植物状態の患者と対話する』エイドリアン・オーウェン

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『意識とはなにか』茂木健一郎

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『「意識」とは何だろうか―脳の来歴,近くの錯誤』下條信輔

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つい,「意識」と書いてある本を手に取ってしまい,図書館でなら良いのですが,本屋さんでの場合は,気づいたら買ってしまいます。そして,食費を抑えよう!と決意します。やっぱり読んだらおもしろい。SNSや動画,ネット記事で,いかに短時間で効率よく,わかった(気にさせるか)の時代ですが,自分のペースでわかったを確認しながら,対話できる本もおすすめです。そして,わからないまま進めていく感覚と,突然どこかでわかったになる感覚は,世界と自分が変わる瞬間を感じることができます。

 

大学生の時にどんな本を読んだの?⑤

さて,最後の10冊です。卒論を出してから大学院に入る前に読んでいた本ですね。

 

卒論出してから読んでいた本です。

 

『哲学する赤ちゃん』アリソン・ゴプニック

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『ヒトはなぜ神を信じるのか―信仰する本能』ジェシーベリング

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『おさなごころを科学する』森口佑介

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『社会脳の発達』千住淳

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人工知能に哲学を教えたら』岡本裕一朗

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『道徳性の起源:ボノボが教えてくれること』ドゥ・ヴァ―ル

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『子育ての知恵:幼児のための心理学』高橋恵子

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『進化発達心理学―ヒトの本性の起源』ビョークランド・ペレグリーニ

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『子どもの難問』野矢茂樹(編)

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私が最も好きな本です。

 

『星の王子様』サン=テグジュペリ 河野万里子訳

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おもしろそうだなと思った本がありましたら,読んでみてください。

おもしろい本は生きるエネルギーを与えてくれます。こんな世の中だからこそ,心に平和が必要でしょう。本を読んだ後には,見える世界が変わりますし,自分も変わります。生きることは,学ぶことです。学ぶことは,変わることです。これが読書の醍醐味でしょうね。

 

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